本文へジャンプ


●真室川町の「伝承野菜」もっとくわしく●

このページをとじる

雪割菜【ユキワリナ】
雪解け後に伸びてくる花芽(茎立ち)を食べる。蕪や大根と同じアブラナ科の野菜で、花は菜の花と同じで黄色である。一番花芽を収穫すると、脇芽が次々と立ち、同じ株から何度も収穫できる。春一番に採れる青野菜として重宝がられ、現在まで作り続けられてきている。

「雪割菜」という名前は、春一番に雪を割って伸び出す様子から付けられたとのことで、この地域では近年市販されるようになった五月菜などの茎立菜全般をも総称して雪割菜と呼ぶくらい定着した呼び名となっている。

山形県真室川町、川舟沢地区の佐藤弥太郎氏の妻である富美子氏が実家である同町小国地区の実姉の家から譲り受けたのが始まりなので、佐藤家での雪割菜の歴史はさほど古くはなく、川舟沢地区でも佐藤家以外に、雪割菜を作っている家は無いと言う。ただし、実家である小国地区では栽培の歴史は長いということで、小国地区では一般的な野菜であるという。

9月に播種を行い、間引きながら降雪までに株を充実させる。間引いたものも汁の実をはじめ様々な料理にして美味しく食べることができる。充実した株は雪の下で越冬させ、春先、雪解け直後に伸び出してくる花茎を順次収穫する。一度収穫した株からは又すぐに脇芽が伸び出し、何度も収穫が可能という。

種取り用に数株だけは収穫せずに残しておき、開花させ菜種を収穫する。雑種ができるのを防ぐため、種取り株の近くに同じアブラナ科の野菜を開花させないように注意して交雑するのを防いでいる。また、結実期には、スズメなどの野鳥が種を食べにくるのでネットなどで覆い、食害を防ぐ。

春の茎立ちはお浸しやみそ汁の具はもちろん、油ともよく合うので炒め物にしてもおいしい。市販されている五月菜に近い仲間と考えられるが、五月菜に比べ柔らかく、苦味がほとんどない上、ほのかな甘みもあり、野菜の少ない春先の食卓に重宝される。工夫次第で何にでも利用できる。


平成21年10月1日には最上伝承野菜にも追加された。









【区分】茎立菜(クキタチナ)
【別の呼び名】ふくだち
【入手時期】5月
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


弥四郎ささぎ【ヤシロウササギ】
この弥四郎ささぎは、完熟した実が茶色なことから「茶ささぎ」とも呼ばれている。かつては町内全域で作られていたというが、最近は市販の種に押され、姿を消しつつあった。

そのもっとも大きな転機と言われるのが、戦後にアメリカから「ケンタッキー」というインゲンマメが移入されたことだという。この種は豊産性で実がまっすぐ実り、どうしても実の先が曲がりやすい弥四郎ささぎを含む在来の茶ささぎに比べ市場性が高かったことが入れ替わりの大きな理由だったという。

この弥四郎ささぎは、山形県真室川町の川舟沢地区にある佐藤弥太郎家で先代のおばあさんが若いころにはもう既に作っており、少なくとも70年以上は伝承されてきた豆である。地区内の他家でも作られており、種を無くすれば、互いにやりとりし、今日までの伝承が続いている。この地区にも新しい品種のインゲンマメは移入されたが、味のよさ、大きく成長してからも柔らかいこと、完熟実も煮豆等にして食べられることなど、見栄えのよさという市場性以外では、在来のものの方が勝っている点も多く、大切に作り続けて来たのだという。

つる性で、栽培には、手柴やネットが必要。5月と7月の2回播種し、収穫期を長くする工夫をしている。5月の連休頃に蒔いたものからは、翌年の種用の実を収穫する。7月に播くものを「丑ささぎ」又は「土用ささぎ」と呼んでいる。これは、ちょうど「土用の丑」の頃に蒔くことからそう言われている。この頃に播いたものは、5月に播いたものの実りが落ちた時に収穫が始まり、秋遅くまで食べることができる。収穫期を長くするための工夫。ただし、種取りには向かないという。

豆は、前年取った種を播かないと実のなりが悪いことはもちろん、発芽すら難しいと言われることから、数十年もの間、毎年作り続けられてきたことが分かる。弥四郎ささぎの「弥四郎」とは佐藤家の屋号。

皮も実も柔らかく、若実は、外皮が黄緑色で中の豆は白色。味噌汁の具、煮物、炒め物、天ぷら、素揚げなど各種の料理に利用でき、少し採り遅れても鞘が堅くなりにくいのが特徴で、煮物などにして美味しく食べられる。熟した実(茶色)は、煮豆にしたり、白あんを作ることもできる。


平成21年10月1日には最上伝承野菜にも追加された。









【区分隠元豆(インゲンマメ)
【別の呼び名】茶ささぎ
【入手時期】7月~10月上旬
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


勘次郎胡瓜【カンジロウキュウリ】
山形県真室川町の谷地の沢地区にある屋号、姉崎勘次郎家に約120年前(平成20年現在)に隣村の鮭川村から嫁いだ方が携えてきたのが、この黄色い胡瓜の種だった。

勘次郎家ではその後、この胡瓜に寄せる代々の当主の遺言にも似た思いを受けて一年も欠かさず栽培を続け種を継いできた。平成19年までは、勘次郎家の縁者数人が先祖の思いをつなぎ、細々と栽培を続けてきたが、各種の伝承野菜が脚光を浴びてから珍しいこの胡瓜の魅力に惹かれ、町内の数軒の農家が栽培を試み始めている。

この勘次郎胡瓜の系統は、果実の食感や表面の黒いトゲの特徴からかつて日本の関東以西でよく栽培された華南系品種の特徴を伝えていると思われる。在来作物に詳しい、元山形県職員の大野博氏によると、勘次郎胡瓜のような白いキュウリは、30~40年前まで、新潟をはじめ日本各地に少しはあったようですが、今は全くなくなってしまっているとのことです。よくぞ、山形県、真室川町に残っていてくれたものだと、うれしく思うとのことだった。

果色は、成り始めは、白みを帯びた黄緑色で、成長とともに黄緑色が抜け、白身を帯びた黄色に変わり、やがて全体が鮮やかな黄色に変わり、その後黄褐色にかわる。

形は、だいたい18~20㎝前後になる頃から収穫できるようになり、可食適期とみられる。一般のキュウリに比べると若干長さが短く太さがあるずんぐりタイプ。普通のキュウリは花落ちの部分がとがっているが、勘次郎は尖らず丸みがある。そのまま成らせておくと、太さも長さも更に大きくなり最終的には長さ2830㎝、直径78㎝程度まで成長する。一般の胡瓜に比べて収穫量は少ない。

食味は、一般的なキュウリの特徴ともいえる青臭さなどがほとんど無く甘みや旨みが感じられる。皮が柔らかく、水分は多く、瑞々しい。甘味のない少し若いメロンのよう。フルーツのようなキュウリである。また、塩漬け(置き漬け)にすると、勘次郎胡瓜は黄色が鮮やかとなり、青キュウリの漬物と盛り合わせると彩りがよい。普通の青キュウリよりも早く浸かり、味も沁みやすい。皮が柔らかいせいかもしれない。


平成21年10月1日には最上伝承野菜にも追加された。









【区分】胡瓜(キュウリ)
【別の呼び名】黄色いきゅうり
【入手時期】7月~9月上旬
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


からどり芋【カラドリイモ】
山形県真室川町とその周辺市町村(最上地域)で栽培されてきた里芋の仲間で、姿形も里芋よく似るが、一般的に茎が緑色の里芋と比べ、このからどり芋の茎は赤紫で、通常は子芋のみを食用とする里芋と違ってエグ味がほとんど無く、親芋を主に食用とする。ねっとりとしてきめが細かくまるで上品な和生菓子のような食感が特徴。もちろん子芋や茎、葉に至るまでおいしく食べられる。地域の伝統料理にもよく登場する野菜であり重宝されている。特に納豆汁には、からどり芋の芋がら(ずいき)が入らないと始まらないとさえ言われている。

県内の庄内地域にも「カラトリイモ」という同様の里芋の仲間が栽培されているが、こちらは、最上地域と似た赤紫の茎のタイプと緑色のタイプの2種類が存在する。いずれにおいても、主に親芋を食し、茎や葉も利用するという点では似ているが、草姿など、全体的に比較した場合、庄内のものに比べ、小ぶりで、葉のフチが波打たずツルっとしている点など、見た目の違いもいくつかあり、まったく別のルートで伝わった別の野菜と考えられる。

毎年、種芋を自家で確保し、冬越しさせて作り続けている農家が真室川町内にいくつかある。冬越しはさせないまでも、冬越しさせた農家から種芋を譲り受け、苗に仕立てて販売している農家もあるということであった。特に町内の平岡地区には、からどり芋の苗作りをしている農家が多い。平岡地区は地下水位が高いといわれ地温が高いらしく、町内の他の地域よりも融雪が早いといわれる。そのせいか古くからの方法による露地での冬越しに失敗する確率も低く、長年作り作られてきているのかもしれない。

また、平岡地区には古くからの農家が多く、踏み床温床により野菜の苗物生産をしてきた歴史があった。戦後、葉タバコ生産が盛んになってからは、電熱式の温床も普及し、タバコの苗を作った後の温床にナスやキュウリ、トマト、ピーマン等の野菜苗を育て、町内外から買いに訪れる客に販売してきた。からどり芋もその中のひとつだった。自家用に保存する他に、販売用にも種芋をとっておくという習慣から、より伝承されやすい環境となったものと推察される。地区の古老たちの話では、苗物として販売する以前は冬越しした種芋を売っていたとのこと。4月上・中旬頃になると、種芋を背負って遠くは隣町金山町の有屋地区のあたりまで1日がかりで売りにいき、重さによる量り売りをしていたという話であった。

町内の苗販売店に訪れる客の中にも家庭菜園にと、からどり芋を求める声が多く、販売店では、町内の農家から苗を仕入れて販売に応じているという。こうしたことからも、地域全体でからどり芋の需要があり続けている状況に加え、細々ながらもそれに応じて自家用の他に販売用苗を生産しつづけている小規模農家が数件ながらもあったことで、今日まで真室川町および近隣市町村にからどり芋が残ってきたものと考えられる。

平成21年10月1日には最上伝承野菜にも追加された。







【区分】里芋(サトイモ)
【別の呼び名】からどり
【問合先/入手先】近隣市町村の直売所などで販売
【入手時期】9月下旬~10月下旬
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


甚五右ヱ門芋【ジンゴエモンイモ】
山形県真室川町内の旧家で室町の頃から作り続けられてきたと伝えられる里芋の一種。専門機関の調査結果からは、土垂(里芋の一種)系であることが分かった。子芋の食感は極めて柔らかくなめらかで、芋煮にして最高。通常の里芋は親芋がガツガツと堅いことから食べないのが一般的だが、子芋と同様に親芋も煮物などで食すことができるのも特長。

真室川町内の小川内(こがわうち)地区、佐藤信榮(のぶよし)氏宅に室町の頃から代々伝わっているとされる里芋。佐藤家には、その頃からの伝承物が芋の他にあと二つあり、ひとつは墓石、もうひとつは脇差(短剣)である。墓石には初代甚五右ヱ門から数えて4代目の名が記されている。また、脇差は、佐藤家が今の家を新築する昭和55年に、古い家の屋根裏から発見されたもので、室町期のものだと鑑定されている。この3つが佐藤家の家宝である。

「甚五右ヱ門」は佐藤家の古い屋号で、芋の名前も屋号から来ている。また、子芋の形が細長く、七福神の一人で頭の長い福禄寿の別名、長連頭(ちょうれんず)に似ているので長連頭芋という人もいたとのこと。

畑にある状態では、一見して普通の里芋と区別がつかないが、掘り上げてみると、普通の里芋に比べて長めで、イモについている皮の節の間隔が広くなっている。食感は柔らかく、いも汁にすると、箸で簡単に切れる。芋の外側と内側の固さの差もほとんど無く、色の差もない。色はきれいな白色。ぬめりも通常の里芋に比べて多い。収量は、通常の里芋に比べ、やや少ないという。乾燥には弱いので、好天が続くような時は潅水する。

栽培法は普通の里芋と大きな違いはないとのこと。春5月に霜の降りなくなったころを見計らって種芋を畑に伏せ込み芽が隠れるまで覆土し、ビニールでトンネルにして上から覆う。乾燥を見計らって潅水をし、本葉が2枚になったところで定植する。土寄せは3回、子芋の葉は全て掻き取り、土をかける。

収穫は霜が降りる前に終わらせるのが普通。特に翌年の種にする分は、早めの時期に収穫し、囲っておく。食べる分については、霜降期ぎりぎりまで畑においておき、充実させている。当面食べる分の保存は凍らないところに保管しておくのだが、長期保存には、生のまま皮を剥き、冷凍保存とする。親芋も子芋も、孫芋も同様。冷凍保存したものを食べるときは、解凍せずに冷凍のままあらかじめ作っておいた煮汁に入れて煮る。

現在「甚五右ヱ門芋」は、佐藤家を含むわずか数軒でしか作られていない。佐藤家では、「甚五右ヱ門芋」の特徴、形質を残すため、種芋には吟味している。毎年毎年淘汰選抜されて、より「甚五右ヱ門芋」らしい芋が現在まで伝承されてきている。

平成21年10月1日には最上伝承野菜にも追加された。









【区分】里芋(サトイモ)
【別の呼び名】長連頭芋(ちょうれんずいも)
【問合先/入手先】甚五右ヱ門 代表 佐藤春樹
【入手時期】10月中旬~12月
【問合先住所】〒999-5521 山形県最上郡真室川町大字大沢2261
【TEL/FAX】0233-63-2651/0233-63-2651


とっくりかぶ【トックリカブ】
山形県真室川町川ノ内地区のたった一軒の農家でのみ栽培され続けているかぶで、水分が多く、食感が柔らかいのが特徴。このかぶを栽培しているのは中川信夫氏で、中川氏の母親が昔から、短くて、中央付近がわずかにくびれ、下膨れた形が、ちょうどとっくりのようにみえたことからそう呼んでいるのだということを聞いて育ったとのこと。

標準的なサイズは15㎝前後と短く、ずんぐりと太く下膨れている。かぶの上から半分ぐらいまで(土から出た部分)の外皮が濃い赤紫色になる。切ってみると中は白いが、外皮の2㎜ぐらい内側から2㎜程度が帯状に紫がかっている。葉の部分はかなり長く、一般的な地かぶよりも緑色が強いが茎部分には紫色がわずかに入る。肉質はやわらかく、筋っぽさはなく、生でかじってもカブ独特の辛味は少なく甘みが感じられる。

中川家では、常に地かぶといえばこのカブであったといい、信夫さんの母親もずっと作ってきたとのこと。おそらく、母が嫁いできたときには既にあったのではないかということだった。 当時は、各家にそれぞれ種を採っている地かぶがあったといい、中川家でも、他家との交雑をすることなく、自分が美味しい、良い、と思っている形質を備えたかぶを代々種取りして今日にのこしている。 「カブや大根は11/12から上におがる(成長する)」との言い伝えが中川家にはあり、寒くなってからかぶが大きく成長するのだということを今に伝えている。

9月上旬までに播種。収穫は1120日前後におこなっている。播種は、筋播きにし。間引きをしながらそだてる。(4回ぐらい間引きする。)連作すると病気が付きやすいので、転地栽培をこころがけている。たいていは、豆を2年作った後に作るという。収穫の際、翌年の種にするのによさそうなものをよけておき、畑の隅に伏せこんでおく(やどっておく)。保管中にネズミの食害を防止するため、近くの杉林から青杉の葉を切ってきて周囲を囲っておく。5月上旬頃に黄色の花が咲き結実する。他の花粉と受粉しないようにネットをかけておき。十分に結実し熟したら刈り取って収穫する。

食べ方は甘酢漬け(砂糖と塩と酢でつける。現在は地カブの漬け物というとこの漬物。)が一般的。収穫時期は新鮮でみずみずしいかぶを使って味噌汁の具にもする。春先になると、雪の下に埋めて保存していたかぶから葉っぱが伸びてきており、その葉っぱを油炒めにして食べてもおいしい。

平成21年10月1日には最上伝承野菜にも追加された。







【区分】蕪(カブ)
【別の呼び名】地かぶ
【問合先/入手先】中川信夫
【問合先住所】〒999-5301 山形県最上郡真室川町大字川ノ内1234
【TEL】0233-62-3992


長左エ門かぶ【チョウザエモンカブ】
山形県真室川町平岡地区の高橋長左エ門家に伝わってきたこのかぶは、地域内では普通は「地カブ」という呼び名で呼ばれるが、平岡の長左エ門家から広がったということで、長左エ門カブとも呼ばれる。

標準的なサイズは20㎝前後で、細長く先端に行くほど緩やかにふくらむが、極端なものではなく、さほど下膨れは強くない。かぶの上から半分ぐらいまで(土から出た部分)の外皮が赤紫色になる。切ってみると中は真っ白い。肉質はやわらかく、筋っぽさはない。種取りには、長左エ門カブの特徴をより残しているものを取ることとしており、中でも、茎の巻き上がりが少ないもの、しっぽがあまり長くないものを残すようにしているとのこと。すなわち可食部の多いもの。かといってあまり肥大したものは、割れや腐れ、病気が出やすいとのことで、適当なサイズを種用に残している。

高橋家では、分かっているだけでも100年ほど前からこのカブを作り続けているという。高橋家は、小規模の農家であるが、多品種のものを少しずつ栽培し、軽トラックに積載して町内での戸口販売を続けている。かつて平岡には、自転車やリヤカー、背負い籠などに自家採取の朝採り野菜をつけて、駅前地区を中心に売り歩いていた農家のお母さん方が多数存在した。時代の変化とともにその需要も減り、売り歩く人も激減したが、高橋家では今でも続けているという。長左エ門カブは、そうした戸口販売においても人気の商品で季節が来ると心待ちにされる野菜のひとつだという。

8月下旬~9月上旬に播種。収穫は10月下旬頃から疎抜きが始まり、11月中下旬まで。(「9月1日土の中」という諺あり。)播種は、筋播きのほか、ばら蒔きにする場合もある。疎らに蒔けば、大きく育ち、密生させれば、細く小さなものが沢山とれる。水はけは良いほうがいいとのこと。多肥は避け、有機質の堆肥をすきこむ。地力があれば、播種時期が遅くなっても大きく育ち、す(カブの中心に穴)も入らないという。あまり早く播きすぎると頭の部分が固くなり、筋ばって網がかかったようになりやすいという。そうなったものは、「網かぶり」とよんでいるという。収穫時期、翌年の種にするのによさそうなカブを数本よけておき、ネズミの心配のない畑の隅に伏せこんでおく。5月上旬頃に黄色の花が咲き結実する。

食べ方は甘酢漬け(砂糖と塩と酢でつける。現在は地カブのつけものというとこの漬物。この漬物を鱒と煮た料理が正月元日の朝食の膳に登場する。今でこそ甘酢漬けのカブを使っているが、かつては、麹と味噌の漬物か塩漬けを使用したのかもしれない。「かぶ」と「ます」で株が増すようにとの思いが込められた縁起物の料理のようである。)・麹と味噌の漬けもの(かつてはカブの漬物の代表選手だったという。砂糖などが貴重な時代だったので、身近にある味噌で漬けたのだという。おいしかったというが、現在、漬ける人は減っている。 )・味噌かぶ(春彼岸にお供えする伝統料理)・かぶのふすべ(カブの持つ辛味が味わえる)・カブの塩漬け(そのまま食べるのではなく、ほとんどは保存しておき、塩出しして、汁ものにつかったり、漬物炒りという炒り物にして食べた。今は塩漬けして保存することはほとんどしていないのではないかと話していた。また、今、カブの漬物炒りといえば、甘酢漬けのものを炒るのが多いという。)などがある。










【区分】蕪(カブ)
【別の呼び名】地かぶ/最上かぶ
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


小川内かぶ【コガワウチカブ】
山形県真室川町内の小川内地区で栽培されている。下に行くほど次第にふくらみ、最下部は鼠の尻尾のように見える。かつては、単に「かぶ」または「地かぶ」と呼んできた。その形状から、「しもっぷくれ」とか「ねずみのおっぱ」と呼ぶこともあったとのこと。

標準的なサイズは20㎝弱で、下側に行くほど、緩やかにふくらみが出て、下膨れている。その形状はネズミのおしりからしっぽが出ている様子とよく似ている。

葉への紫色の色素の入り具合は少なく、逆にかぶの部分は、紫色が濃く、紫色の部分が多い傾向。掘り上げてすぐは、白かった部分も紫がかった色に変わりやすい。

かぶ部分の色は、表皮のみで、中は白色をしている。栽培者の佐藤氏が嫁いでくる前からずっと毎年種を採って作ってきた。少なくても80年にはなるとのこと。小川内地区の他の家では作られておらず、佐藤宅でのみ作られている。

カブをはじめとするアブラナ科の植物は、交雑がしやすいので採種用の花を咲かせる近くには別のアブラナ科の植物が開花しないように隔離した場所をえらんでいるという。




【区分】蕪(カブ)
【別の呼び名】しもっぷくれ/ねずみのおっぱ/地かぶ
【問合先/入手先】
【問合先住所】
【TEL/FAX】


黒五葉【クロゴヨウ】
山形県最上地域全域のほか、真室川町内各地で代々作り続けられている。若いうちには枝豆、大豆になってからは煮豆が一般的。煎って、黒豆茶にして飲むこともある。一昼夜水で戻して天ぷらにしてもおいしい。枝豆として食べても大変おいしいことから、春先の直売所などでは、大豆として食べるために販売しているものを播種用に購入していく客も多い。

黒豆の仲間は、一般的に早生タイプが多く収穫時期がほかの大豆に比べて早い。この黒五葉も早生タイプで、大豆としての収穫も9月の中旬頃には始まる。通常大豆は一枝に三枚の葉がつくが、この黒五葉は、その名にある通り一枝に葉が五枚ついているのが特徴。

当初から最上伝承野菜に認定。


【区分】大豆(ダイズ)
【別の呼び名】黒豆(くろまめ)/五葉(いづつぱ)豆
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


青黒【アオグロ】
青豆の一種。大豆の状態になっても色が緑色で美しい。白大豆に比べて味が良い。

山形県最上地域全域のほか、真室川町内各地で代々作り続けられている。もしも種を採ることができなかった年も、近隣で同じ種類の豆を作っている人から分けてもらったりしながら、お互いやりとりしながら作り続けている。状況としては、最上地域の他の町と同様と考えられる。

枝豆のほか、大豆になってからも色が緑色をしているので、青きな粉やひたし豆、三杯酢豆などにして食べる。節分に炒って、豆まきに用いるほか、瓶に詰め、「鬼の豆」として遠出の際の厄除けにして食べる。油で炒って、砂糖と味噌を加えた「豆味噌」という食べ方をかつてはよくした。晩生型。

当初から最上伝承野菜に認定。


【区分】大豆(ダイズ)
【別の呼び名】色の濃いあおばこ
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


青ばこ豆【アオバコマメ】
青豆の一種。青黒よりも色が薄く、黄緑がかっており、形もやや平べったいのが特徴。同じく味は良い。

山形県最上地域全域のほか、町内各地で代々作り続けられている。どこの農家でも用途に応じていろいろな種類の豆が作られており、それぞれ自家採種して、作り続けてきている。「青ばこ豆」も「青黒」も、大豆として収穫しても豆の色が緑色のままであるという共通点からいずれも「あおばこ」と呼ぶことが多い。その区別には、「べったらこいあおばこ」、「色の濃いあおばこ」などと言って区別しているという。若いうちには枝豆、大豆になってからも色が緑色をしているので、青きな粉やひたし豆、三杯酢豆などにして食べる。晩生型。

当初から最上伝承野菜に認定。


【区分】大豆(ダイズ)
【別の呼び名】平たいあおばこ
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


大黒豆(雁喰い)【ダイコクマメ(ガンクイ)】
山形県真室川町で昔から作られてきた黒豆。黒五葉に比べ、ひと回り大きく、平べったいのが特徴。中央付近にしわが寄って模様のようになっている。呼び名は、大きい黒豆だから大黒豆とされたか、七福神の一人、大黒様の行事に使われる豆だから大黒豆とされたのかは分からないが、古くから作られてきた豆である。

どこの農家でも自家採種により用途に応じたいろいろな種類の豆が作られており、その途中で、もしも種を採ることができなかった場合があっても、近隣で同じ種類の豆を作っている人から分けてもらったりしながら、お互いやりとりしながら作り続けてきた。その範囲は、同地区や同町内に限ったことではなく、婚姻などにより親戚関係となった最上郡内や県内他地域とも同様にやりとりが行われてきたと考えられる。最上地域の他の地区で「雁喰い」として作られてきた元は同じ豆が、そうした流れで真室川に入ったことも大いに考えられる。ただし、黒五葉をはじめとする他の黒豆と混ざる(交雑する。若しくは、収穫後の選別で)などの理由から町内では最近はあまり作られなくなってきているという。

「雁喰い」として当初から最上伝承野菜に認定。


【区分】大豆(ダイズ)
【別の呼び名】雁喰い(がんくい)
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


秘伝豆【ヒデンマメ】
この秘伝豆については、東北各地に発祥の地とされる地域がいくつかあるとのことであるが、味の良い枝豆用の品種として種が既に市販されるようにもなっていることことから、現段階で町内で作られているのがどの系統かを確定することは難しいとのこと。

山形県真室川町を含む最上地域でも比較的古くから作り続けられており、それぞれ自家採種している。その途中で、もしも種を採ることができなかった場合があっても、近隣で同じ種類の豆を作っている人から分けてもらったりしながら、お互いやりとりしながら作り続けている。状況としては、最上地域の他の町と同様と考えられる。

若いうちには枝豆に最高で、大豆になってからも色が緑色をしているので、青きな粉やひたし豆、三杯酢豆などにして食べる。 節分に炒って、豆まきに用いるほか、瓶に詰め、「鬼の豆」として遠出の際の厄除けにして食べる。油で炒って、砂糖と味噌を加えた「豆味噌」という食べ方をかつてはよくしたという。

他の青大豆と同様晩成タイプで、9月下旬から10月上旬頃に枝豆として利用できる。


【区分】大豆(ダイズ)
【別の呼び名】秘伝(ひでん)
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


喜平豆【キヘイマメ】
山形県真室川町内、小国地区の佐藤寿美夫氏宅に伝わる白大豆。佐藤氏の母(昭和3年生まれ)が嫁いできた時には、佐藤家ですでに蒔かれていた大豆で、以降、ずっと継いできた大豆である。母が嫁いできた年齢を考えると、少なくとも、60年は植え続けてきた大豆であるといえる。

5月下旬に播き、6月上旬に定植、9月頃に枝豆として収穫する。10月末頃から収穫する。夏に枝豆として食するほか、秋に収穫した大豆を使って自家製の味噌づくりに使用している。かつては、収穫した大豆で、豆腐や納豆なども自宅で作っていた。煮豆にしてもおいしく、正月には、夏に冷凍保存していた枝豆をはじいて三杯酢につけて行事食にする。



【区分】大豆(ダイズ)
【別の呼び名】特になし
【問合先/入手先】真室川町役場産業課/入手不可
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731


七夕白ささぎ【タナバタシロササギ】
七夕の頃に種を蒔く。若実の時は鞘ごと食べ、成熟してからは、鞘を外し煮豆にして美味しい。

ささぎ豆(インゲンマメ)の一種であるが、実は、大豆の大きさ・形そのものである。豆の目の部分が大豆と違って小さいために大豆ではないことがわかる。

あまり早く播いても実がならず、七夕以降から土用のあたりまでに播くとよい。8月下旬から収穫が始まり、若いさやを食べるが、他のささぎに比べて、コクがあり、とても美味しい。鞘はあまり長くなく、平べったく、少し先が曲がるのが特徴という。実は、皮が薄く煮豆にしておいしい。つる性なので、ネット仕立てか、手柴をたてる必要がある。

山形県真室川町内のいくつかの地域で作られていることが分かっており、それぞれの栽培地間でのやり取りの関係が調査の結果分かってきた。比較的新しい伝承野菜とかんがえられる。

【区分】隠元豆(インゲンマメ)
【別の呼び名】白いささぎ
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


金時豆【キントキマメ】
山形県真室川町内全域で煮豆用につくられてきた。いずれも、その家々で種を保存しておき、翌年播くというサイクルになっている。これもまた、古種は発芽率も落ち実付きも悪いことから、毎年わずかずつでも作り続けらけて来たことがうかがえる。

葉や根、若実を食べるものと違い、種そのものを食べる種類なので、伝承されやすかったのかもしれない。煮豆にして食べるのが一般的。5月上旬に播種し、8月下旬、鞘が黄変してから収穫する。鮮やかな赤い色が魅力的、おふかしに炊きこんだり、最近では、茹でてサラダのいろどりにしても食べられる。豆料理は手間がかかるが、その先にある美味しさを求めて、いつの時代も愛されてきた。
【区分】隠元豆(インゲンマメ)
【別の呼び名】赤ささぎ
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


ひろこ【ヒロコ】
山形県真室川町を含む最上地域では一般に、芽が出たばかりの野生のアサツキのことを「ひろこ」や「ひろっこ」と呼び、酢味噌和えや、吸物、鍋物、天ぷらなどにして味わう。

写真は雪解け直後のものだが、残雪を掘って採取したものの方がアクが少なく美味しいとされている。現在では町内各地で畑栽培もされ、市場にも出回るようになったが、かつては「ひろこ摘み」といって、春一番に野山から採取してくる山菜の一つだった。真室川町内では、鮭延城址のあたりに群生地があり、この時期は近隣から集まった「ひろこ摘み」の人々で賑わっていたという。長い間、地域に愛され栽培され続けてきた点からいえば、これも伝承野菜といえる。

↑掘り上げられ、休眠中の球根


【区分】葱(ネギ)/アサツキ
【別の呼び名】ひろっこ
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


夏みょうが【ナツミョウガ】
山形県真室川町内各地、各家の庭先には必ずといってよいほど植えられてきたみょうが。それぞれ起源も分からないほど昔から植えられており、これもまた伝承の野菜といえる。

きっとそれぞれの集落誕生直後からその移入者らによって持ち込まれたものではないかとの説もある。そうなると、数百年にも及ぶ伝承の歴史があることになるが、定かではない。

少なくても、百年以上経っていることは間違いないという。特に手入れは要らず、除草と多少の肥料をすれば、収量があがり、殖やすには株分けが一般的で、新しい土地に植えるとたちまちに殖えるとのこと。

薬味はもちろん、天ぷら、漬物など。甘酢漬けにすると、年中使える。


【区分】
【別の呼び名】
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


赤にんにく【アカニンニク】
山形県真室川町内、小川内地区の1軒の農家で戦前から自家採種して作り続けられてきたにんにく。昔から自家用に各家庭で少しずつ植えられてきたという歴史があるが、ほとんどが経済作物に置き換えられているのが現状の中、この農家では、外皮にほのかな赤色の入るこのにんにくにこだわり、60年以上もの間、自家採種し続け、作り続けてきた。特徴としては、外皮の赤色に加え、一般的なにんにくに比べ香りや味にきつさがなく、まろやかだという。最上伝承野菜にも「最上赤」という赤にんにくがあり、恐らくはこの系統のひとつと予想されるが、はっきりとしたことは不明。今後、専門家を交え調査をすすめる予定。
【区分】大蒜(ニンニク)
【別の呼び名】赤いにんにく
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731
真室川町役場 交流課 まで


菊右エ門唐黍【キクエモントウキビ】
山形県真室川町の安久土地区随一の豪農、旧家である小野菊右エ門家と、その別家等四軒が、このトウモロコシを原料とする打ち菓子の木型を共同で使用しており、この4軒が最後まで打ち菓子作りをしていた。

このトウモロコシは、代々菊右エ門家に伝えられてきたものだという。これを原料にした打ち菓子は毎年のひな祭りにお雛に供えられるものだった。しかし、平成17年に収穫して以来、小野家最後の住人だったトヨ子氏が体調を崩し19年には亡くなられている。トウモロコシはここ数年作られておらず、17年産とみられる種子のみが残されている。

平成20年現在、山形大学農学部に種子の発芽を依頼し、胚培養などを含めた発芽試験を試みてもらったが発芽させることはかなわなかった。
【区分】とうもろこし
【別の呼び名】打ち菓子とっきび
【問合先/入手先】真室川町役場産業課/入手不可
【問合先住所】〒999-5312 山形県最上郡真室川町大字新町127-5
【TEL/FAX】0233-62-2111/0233-62-2731



「最上伝承野菜」の紹介ページはこちらから



このページのトップにもどるこのページをとじる
 Copyright ©2009 mamurogawa brand All Right Reserved.